我が家のミートソースは、母の味。カレーで作る不思議なレシピ
私は昔のことをあまり覚えていないのに、食べ物のことだけはよく覚えています。
特に、誕生日に出てきた「母のミートソース」は、今も私の中で一番の味。
今日は、ちょっと不思議で、とびきり懐かしい“我が家だけのミートソース”のお話を。
誕生日にミートソース。なんだかちょっと不思議な組み合わせ
私の誕生日は2月の終わり。
ひな祭りも近いので、実家では七段飾りを出して、ちらし寿司とハマグリのお吸い物が並びます。
そこに、なぜかミートソース(笑)。
でも、それが私の大好物だったから。
今でも雛飾りを見ると、あの味を思い出します。
アルデンテなんて知らなかった頃のスパゲッティ
今ではイタリアンレストランを11年やっていた私ですが、子どもの頃は「スパゲッティ=ミートソース」でした。
ナポリタンもペペロンチーノも知らなかった。
しかも麺はゆですぎ気味、最後はバターで炒めて完成。
あの頃の私にとっては、それが最高に贅沢な味だったのです。
母のミートソースの正体は、まさかのカレールー
うちのミートソース、実はカレールーで作ります。
合いびき肉と玉ねぎを炒めて、水を加え、そこにカレールーを溶かして、最後にケチャップをたっぷり。
たったこれだけ。
初めて夫(当時はイタリアンの厨房にいた)が食べたときは「これはミートソースじゃない」と驚いていました。
シェフの夫も今では大ファンに
でもね、不思議なことに、今ではその夫も大好きなメニュー。
「なんだかクセになる味だよね」って、よく言っています。
カレールーのコクとケチャップの甘さが、どこか懐かしくてほっとする。
私は今でも、たまに無性にこのミートソースが食べたくなります。
レシピは一行。でも、思い出は一生もの
大学で一人暮らしを始めたとき、母にこのミートソースの作り方を聞いたら、
「簡単すぎて教えるほどでもないよ」って笑われました。
本当にその通りで、一行レシピです。
でも、私の中では“母の味”そのもので、きっとこれからも忘れることはありません。
料理って、特別じゃなくていい。
誰かの心に残っていれば、それが何よりのごちそう。
この味を、これからも大切にしていこうと思います。
今日も、遠くのキッチンから。
あなたの毎日が、もっとおいしく、もっとやさしくなりますように。
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